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食の楽しさを人と共有するプラットフォーム 調理家電の未来を変えるパナソニックの戦略(後編) | 未来コトハジメ

日本の調理家電、そして白物家電の未来が大きく変わろうとしている。パナソニックの家電分野の新たな事業戦略を追うシリーズの第2回・後編をお送りする。今回は2021年6月8日に同社が発表した、食のSNS「EATPICK(イートピック)」のリニューアル内容と、「foodable(フーダブル)」「おいしく腸活」という2つのサブスクリプションサービスについて、これらを担当する伊藤卓朗部長と大野敦子主幹に話を聞く。調理家電を支え、同社全体の事業構造を左右する存在にもなり得るソフトサービスの可能性を見てみよう。

前編では、パナソニックアプライアンス社で白物家電事業を率いる堂埜茂(どうの・しげる)副社長に今後10年の白物家電事業構想と、その中で今回発表した新しいSNSとサブスクリプションサービスがどういう位置づけになるかを聞いた。内容を大まかに要約すると以下のようになる。

1)家電業界には、価値を他者と共有する「第3の波」の時代が来ている 2)これまでの家電商品の高機能・多機能を追い求める機能競争の時代は終わった 3)今後、家電メーカーは家電だけを作って販売するだけでは生き残れない。情報プラットフォーム、ネットサービスなどと組み合わせて事業展開をする必要がある 4)その時に重要なのは、ユーザーが他者との情緒的価値を共有できること 5)今回発表した新サービスは食の分野での第一弾。これから、こうした取り組みを白物家電全般に広げる

後編では、2021年6月8日に同社が発表した、SNS「EATPICK(イートピック)」のリニューアル、サブスクリプションサービスである「foodable(フーダブル)」と「おいしく腸活」の詳細について、これらを担当する伊藤卓朗(いとう・たくろう)部長と大野敦子(おおの・あつこ)主幹に話を聞く。

パナソニックはどんな情報プラットフォームを作り、そこでどのようなサービスを展開しようとしているか。2人の話からはパナソニック アプライアンス社が考える未来の家電事業の姿が見えてくる。

既存の家電サポートサイトを母体にリニューアル

──まず「EATPICK」のリニューアルについて、どのようなコンセプトで、どういう設計にしたのかを教えてください。

伊藤氏(以下、敬称略):もともと「EATPICK」というブランドでのサービス自体は昨年(2020年)5月に開始しました。前身となる「キッチンポケット」というサービスがあり、これが母体となっています。

「キッチンポケット」は2014年から2019年まで家電のサポートサイトとして運営してきたもので弊社の調理家電を買っていただいた方に対する満足度向上が目的です。「EATPICK」は、この会員を継承してまったく新しい食のSNSという形にしたものになります。

前身の「キッチンポケット」の会員は17万人(2019年時点)で、かなりいいコミュニティができていました。実際に買っていただいた方のお褒めの言葉やお叱りの言葉も含めて、それが企業のマーケティングとしても大きなパワーを持つんじゃないかと、弊社の中でもある程度自由に運営をしていた経緯があります。

「EATPICK」はこの会員を引き継いで作ったという位置づけです。現時点で28万〜29万人の会員数となり、前身からは10万人ぐらいの新規の方が増えました。食の関係性に関心のあるお客様が多いと手応えを感じています。

「EATPICK」やサブスクリプションサービスなど新規事業を担当する、パナソニック アプライアンス社 キッチン空間事業部 経営企画部 ビジネスインキュベーション課 担当部長の伊藤卓朗(いとう・たくろう)氏(写真提供:パナソニック アプライアンス社)

食の楽しさを人と共有する情報プラットフォーム

伊藤:「EATPICK」で強く意識したのが、食べ物って人とシェアするともっと面白いということでした。料理が苦手だった人が1人で調理家電を使って上手にできたというのは確かに嬉しいことですし、パナソニックとしても一つの目的ですが、食というのは関係性が大事だと考えました。みんなと一緒で食べたり、できたことを共有したりするのは楽しい。さらに、みんなと一緒にやったからできたとか、できなかったことを人に相談すると私もできなかったとか、こうすればできるよといった反応が返ってくる。他者との関係性が生まれる。その関係性が大事で面白いと思ったんです。

これからの調理家電は関係性というものを入れていくと、お客さんが困っていることを解決できるというよりもっと楽しいという方向に行ける。ならばその関係性を作らなくてはいけないのではないかということです。今回のリニューアルでは、もっとインタラクティブに関係性を作れる場にするために、投稿やシェアといったアクションを取りやすくなるようにユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)を刷新しました。今回「食のSNS」というふうに改めて名付けたのもそういう思いからです。

──2つのサブスクリプションサービスについてはいかがですか?

伊藤:「foodable」は若い世代を狙ったものです。いくら私たちが炊飯器を高機能なものにして、「10万円ですが、中身は素晴らしいので買ってください」と言っても、彼らからはいらないと言われてしまう。財布にはいつも1万円しか入れてないという人たちが増えています。所有よりも賢く利用しようと考えるY世代、Z世代も増えています。

この世代には財布にあるお金の範囲で使いたいという考えが普及しています。「foodable」ではそういうニーズを取り込みたいと考えています。

もう一つの「おいしく腸活」は身体の中から美しくなりたいという女性のニーズを取りに行ったサービスです。弊社の調理家電のチームは食を科学してきた経緯があります。食べることを見直して美味しいものを食べてきれいになれるサービスがあれば食を基点としてサービスを作ったらいいんじゃないかとか考えました。

[画像のクリックで拡大表示]食のSNS「EATPICK」のトップ画面。パナソニックアプライアンス社では食に関心のある様々な人が集まるプラットフォームにすることを考えている

複数のマイクロサービスを用意し、新たな「食のSNS」を目指す

伊藤:これらのサブスクリプションサービスを含めた様々なコンテンツを、社内では「テーマパーク構想」と呼んでいます。まず「EATPICK」で関係性の母体を作り、そこにいくつもの食のテーマパークを設置するイメージです。「EATPICK」という食をコンテンツとしたプラットフォームに、食に関心のある方が集まり、互いに関係性が出来上がる。「EATPICK」はある意味、ビジネス上の集客母体になっていて、そこには見たり聞いたりするだけの方もいれば、刺激を求めて来る方もいる。様々なニーズを持った人たちが集まる。そこに対して一つひとつのマイクロサービスを提供することになります。

──「EATPICK」のサイトを拝見するとパナソニックの調理家電の気配があまり見えません。その辺は、どういう考えでどういう仕掛けをしていているのでしょうか?

伊藤:「EATPICK」のリニューアルに当たってとても気を遣ったのが実はそこです。このサイトは結局のところパナソニックが家電を売りたいからやっているのではないかと言われたり、すべてのサービスは家電を買ってくれという風に結び付けられたりすることを一番恐れました。

なぜかというと、我々メーカーよりもお客様のほうが広い視点で価値を考えられている。正直、メーカーの視点のほうが狭いんです。我々は調理家電で言うと、調理の段階の30分間に魂こめて作っています。でも、お客様の欲しい価値はもっともっと広いことになっている。

会社を離れて私個人としての夢を語るならば、広い意味でのサービス業としてのパナソニックになりたいという思いを持っています。もちろん、パナソニックは家電を任せられれば世界一ですが、困っている時も楽しみたい時も頼りになる存在になるには、機器だけやっていてはダメで、サービス観点でお客さんと向き合う必要があります。

サイトにはパナソニックと銘打たず、「EATPICK」という別ブランドにしたのもそれが理由です。食に関しての楽しみやお困りごとを相談できるパートナーとして提供価値を大きく取りたいからです。そこを大きくできると最終的に事業も大きくできると思っています。食で楽しみたい人は国内で約1億3000万人もいます。極端な話、我々のサービスじゃなくて他のサービスと家電を組み合わせて欲しいというニーズがあれば喜んで連携します。

[画像のクリックで拡大表示]Foodableの中で人気の炊飯器と銘柄米の定期配送を組み合わせたサービス。月額3980円のサブスクリプション契約となっている(資料提供:パナソニック アプライアンス社)

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