キャンプと自転車のイイトコどり!! e-bikeで手軽な“ランチパッキング”ライドへ【家電トレンドチェッカー】- 家電 Watch
家電トレンドチェッカー
2020年11月4日 07:00
今、“密”を避ける休日の楽しみ方として人気が高まっているのが、キャンプなどのアウトドアアクティビティ。同様に自転車も移動手段としてだけでなく、趣味としても注目度が高まっています。そして、コアな自転車乗りたちの間では、自転車にキャンプ道具を積んで出かける“バイクパッキング”と呼ばれるスタイルが人気です。
ただし、いきなり自転車でキャンプをするのはハードルが高いのも事実。そこで、いきなりキャンプするのではなく、まずは日帰りでランチを楽しんでみようというのが“ランチパッキング”です。これはe-bikeでやったらメチャメチャ相性がよさそう。というわけで、実際に体験してみることにしました。
デイキャンプが楽しめるスポットまで走る
ランチパッキングとは、自転車に必要な荷物を積んで出かけ、アウトドアでランチを楽しもうというスタイル。食材などは途中のスーパーやコンビニで調達し、自分で調理もすれば気分はより盛り上がります。今回はランチパッキングという言葉を使い始めた人であり、筆者の友人でもある佐藤 真吾さんに同行してもらって、楽しみ方をレクチャーしてもらいました。
右側が佐藤さん。本格的なバイクパッキングも実践しながら、より手軽に楽しめるスタイルとしてランチパッキングを提唱しています佐藤さんとは目黒近辺で集合。2台のe-bikeに荷物をセットし、都内でデイキャンプも楽しめる城南島海浜公園を目指します。幹線道路を避け、目黒川沿いを海に向かい、途中から旧東海道に入るルートは裏道感があり、クルマもあまり走っていないのでなかなか快適。随所に歴史を感じられる景観もあり、のんびり走るのに最適でした。途中のスーパーで食材を調達しつつ、目的地に向かいます。
目黒川沿いには歴史を感じる橋や建造物があり、趣があります海が近付いてくると、モノレールにも遭遇。下から見上げるとなかなかの迫力湾岸地区に近付いてくると、大きめの橋や陸橋を渡る道が増えてきます。結構な斜度があって、自転車で上るのはちょっと体力を削られる感じですが、e-bikeだとそんな上り坂もまったく苦になりません。上り切った橋の上からの景色だけを楽しむことができます。自転車にセットしたバッグの中身は、食材やドリンクでだいぶ重くなっていますが、そんな重さも気になりません。やはりe-bikeとの相性は非常に良いです。
大きめの陸橋を渡るルートは上りもキツめですが、e-bikeなら余裕陸橋の上から高速道路を見下ろす。曇り予報だった天気も青空が広がってきて気持ちいい城南島海浜公園は羽田空港の近くにあるので、目的地が近付いてくると飛行機が目につくように。港湾地域でもあるので、あちこちにコンテナが積み上げられていて、日常ではあまり出会わない光景が広がります。トラックやトレーラーなどが増えるので、やや気をつけて走る必要がありますが、テンションは上昇気味!!
カラフルなコンテナの山の向こうに離陸してきた飛行機が見える。この地区らしい光景目的地である城南島海浜公園に到着! 走行距離は約12kmと長距離ではありませんが、満足感の高いコースでした今回走ったルートもっと遠出もしてみたくなる2台のドロップハンドルe-bike
今回、乗ったe-bikeはフカヤ「DAVOS E-601」とミヤタ「ROADREX 6180」の2台。どちらも長距離ツーリングに対応したモデルだけに、バイクパッキング向けのバッグを装着したスタイルが似合います。今回はそれほど長距離を走りませんでしたが、その気になればもっと遠いキャンプ場まで足を伸ばすのも簡単です。
手前がミヤタ「ROADREX 6180」で奥がフカヤ「DAVOS E-601」。大きめのバッグを装備した姿が様になるどちらもドライブユニットはシマノSTEPS「E6180シリーズ」を搭載。バッテリーも公称容量36V/11.6Ahの「BT-E8014」を装備し、100kmオーバーのツーリングにも対応しています。ちなみに、e-bikeとは「専用開発された電動ドライブユニットを搭載するスポーツタイプの自転車」のこと。一般の電動アシスト自転車とは異なり、スポーツ自転車らしい自然なアシスト感と長い距離を走れる大容量バッテリーを搭載しているのが特徴です。
日本の多くのe-bikeがシマノSTEPSシリーズのドライブユニットを搭載しています。左がドライブユニットのシマノSTEPS「DU-E6180」、中央が大容量バッテリー、右がコンパクトなサイクルコンピューター「ROADREX 6180」は以前に100km超えのロングライドにも使用しましたが、未舗装路も走れる太いタイヤを履いているのが特徴。ドロップハンドルを装備した「グラベルロード」と呼ばれるジャンルに分類されますが、ハンドルが高い位置に装着されていて、なおかつ上方にアップした形状のハンドルなので、リラックスしたライディングポジションで乗れます。
「ROADREX 6180」には大型サドルバッグとフレームバッグ、ステムバッグを装着[写真で見るミヤタ「ROADREX 6180」]「DAVOS E-601」はクロモリの細身なフレームが目を引きます。タイヤは700×32Cとやや細めで、ハンドル位置も一般的なロードバイク同様なので、ライディングポジションは前傾気味。細身のフレームと相まってシャープな印象を与えます。シマノの電動コンポーネンツ「ULTEGRA DI2 DISC」を採用しているので、ブレーキレバーの横にあるボタンで変速ができるのも特徴です。そして、左側レバーのボタンは、アシストモードの切り替え用になっており、ハンドル回りがスッキリしているのが好印象でした。
細身のフレームに大きなバッグが似合う「DAVOS E-601」。ブレーキレバーに指をかけたままボタンで変速とモードの切り替えができます[写真で見るフカヤ「DAVOS E-601」]今回、使用したバッグは車体にベルクロで直接装着できるので、取り付けが簡単でキャリアなどを装備していなくても荷物を積んで行けるのが特徴。世界的なバイクパッキングブームもあって、今や多くのブランドがリリースしているので、選択肢も豊富です。今回使った2台はキャリアを装着するためのダボ穴も装備しているので、その気になればもっと多くの荷物を積んで本格的なキャンプに出かけるのも可能。e-bikeなら荷物が多くなっても、しっかりとアシストしてくれるのでオススメです。
アウトドアで最高のランチを満喫
目的地に到着したので、さっそく荷物を開けます。今回使用した城南島海浜公園にはベンチやテーブルがあるので、チェアなどは持参しませんでした。そのため、食材を含めてほとんどの荷物は2つの大型サドルバッグ(容量は14Lくらい)に収納できています。今回くらいの距離であれば問題ありませんが、できるだけ荷物は背負わず自転車に積むのが疲れにくく楽しむためのポイントだとか。バッグの中身は以下に写真で紹介します。
こちらが持参した食材。すべて途中のスーパーとコンビニで調達しました今回のメインディッシュ(?)になる和牛。プラスチックのトレーはかさばるので、買ってすぐビニール袋に収納したため見た目は変ですが……調理などに使用するバーナーなどの機材はこちら。すべて佐藤さんに用意してもらいましたコンパクトなバッグの中にこれだけの物が収納されています。バーナーはガスと固形燃料、アルコールの3種類。メスティン(アルミ製の飯ごう)も2つ入っています普段からバイクパッキングを楽しむ佐藤さんに持って来てもらったので、機材は充実していますが、ここまで揃えなくてもランチパッキングは楽しめるとのこと。バーナーも1つで足りますが、調理の関係で2つ以上あるとラクなのだとか。重量が気にならないe-bikeの場合は、多めに持って行く手もあるでしょう。ここからは佐藤さんの手で、次々に美味しいメニューが作り出されていきます。
まず少量パックになったお米をメスティンへ。今回の場所は近くに水場もあって便利でした。続いてその中に甘栗を投入。軽く醤油を足して炊くと、秋らしい栗ご飯になるのだとか。お米を炊くのには固形燃料のストーブを使用。固形燃料2つでちょうどいい感じに炊きあがるそう。お米を炊いている間に、ガスのバーナーにはオイルサーディンの缶を直接乗せて加熱します醤油をちょっと垂らすだけで美味しくなります。そのまま調理できるので、ランチパッキングでは定番のメニューだとか続いてはアヒージョ。スーパーで買ったパックをオリーブオイルで加熱するだけですが、これもかなり美味しい!!超お手軽アヒージョ作りいろいろな食材を順に調理しながら、温かいうちにどんどん食べるのがランチパッキングの楽しみ方。凝った料理はしませんが、途中で買ってきた食材がひと手間かけることで美味しくなっていきます。次々に調理しながらも、今回走ってきたルートやe-bikeの乗り味の違いなど話がはずみます。
続いてベーコンをカット。シンプルに焼くだけですが、これも美味い!!厚切りベーコンを焼くそうこうしている間にご飯が炊けたので、保温バッグに入れて引っくり返して蒸らします。この蒸らしがポイントなのだとか蒸らし終わると、本当に秋の味覚の栗ご飯が完成!! 味のほうも栗がホクホクしていて本物の栗ご飯でしたいよいよメインディッシュの和牛をカットコンパクトな鉄板で焼くだけですが、明らかに美味しそう!!焼けたそばからいただいていくスタイル。塩コショウだけでもいけるし、醤油もよく合います和牛を焼く最後はおでん。スーパーで買ったパックを温めただけですが、ちょっと冷たくなってきた風の中で食べると最高ですそして、締めはやはりコーヒー。豆から挽くミルまで持ってきてもらいました。アウトドアでも楽しむ人は増えていますが、気持ちいい日差しの中でいただくと、その気持ちがよくわかります。
佐藤さんご自慢のコーヒーセット。ちょっと荷物になっても、こだわるべきところは手を抜かないのが楽しむコツ。e-bikeなら荷物が増えても快適コンパクトなケトルでお湯を沸かし、1杯ずつゆっくり淹れていきます秋の日差しが気持ちよく、最高の1日になりました自転車の話からアウトドアグッズについての薀蓄まで、会話は盛り上がりますが、食事が終わったら暗くなる前に引き上げるのがランチパッキングのスタイル。調理の終わった機材を軽く洗ったら、素早くパッキングします。
再びバッグを装着された2台のe-bike。帰り道が苦にならないのもアシストがあるe-bikeのいいところ日が暮れる前に撤収帰りは来た道を引き返します。e-bikeで走ると、腹ごなしにちょうどいい感じの運動量でした。休日のランチとしては、これまで食べた中でも最高の部類に入りますが、予算的には1人2,000円もかかっていません。気軽に楽しめるけど、満足感はメチャメチャ高いランチパッキングライド。今度は家族で出かけてみてもいいなと思いました。
増谷茂樹
乗り物ライター 1975年生まれ。自転車・オートバイ・クルマなどタイヤが付いている乗り物なら何でも好きだが、自転車はどちらかというと土の上を走るのが好み。e-bikeという言葉が一般的になる前から電動アシスト自転車を取材してきたほか、電気自動車や電動オートバイについても追いかけている。
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