プロ級の調理を誰でも簡単に魔法の調理家電が日本に上陸!:ガイアの夜明け|テレ東プラス
1月14日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは「フードテックって何だ!?誰でも美味しく作れる時代」。食の分野にハイテクノロジーを取り入れた「フードテック」を特集。スマートフォンと連動し、プロ並みの料理を作る調理家電や、見えない味を数値化し、最適な食べ合わせや新商品の開発に利用する企業などを取材した。
プロ並みの料理を自動で作るフライパン
料理を作るロボットや植物由来のたんぱく質を使った代替肉など、日本にもフードテックが浸透しつつある。そんな中、画期的な調理家電で打って出た2人がいる。食関連の輸入を行う「フェリシダ」の上野雄太郎さんと高原周右さんだ。食関連の輸入商社にいた高原さんと美容・健康食品を扱う会社にいた上野さんは、北海道・旭川で生まれ育った中学時代からの親友。自分の手で世の中を変える事業に挑みたいと2016年に独立。見つけたのが、IHヒーターとフライパンがセットになった「ヘスタンキュー」というアメリカ生まれの最新調理器具だった。2人は、ヘスタンキューを扱うアメリカの会社に直接アプローチをかける。コネもなかったが「食の未来を変えていきたい」という熱意が通じ、2021年1月、日本の輸入代理店に。そして12月の発売に向けて始動した。ヘスタンキューはスマートフォンと連動し、難しい火加減や時間の調整を完璧にこなすという。キッチンスタジオでは、番組案内人の松下奈緒が、レシピにある「NYストリップステーキ」を料理。温度と時間はすべてヘスタンキューにお任せ。肉の厚さをスマホに入力すると自動で温度が上がり、片面を焼くとアラームがなり、裏返す。強火から次第に中火へと、火加減も自動的に調節。約10分後には、見事なミディアムレアに焼き上がった。肝心の味については、「お店の味です」と松下。その他、「パエリア」や「チキンのトマト煮込み」など、番組スタッフが作ったこともない料理を片っ端から試してみたが、どれも美味しく仕上がった。ヘスタンキューのメニューは英語版で約600あり、レシピを監修したのは予約が取れない世界の名店のシェフばかり。レシピは増え続けており、人気店の味を家で楽しむことができる。
2021年6月に小売店のバイヤーを招いた展示会を開くと、大手家電量販店「ヨドバシカメラ」、酒類小売りチェーン「カクヤス」、大手百貨店「新宿髙島屋」など、さまざまな企業が興味を示した。一方で「日本人向けの料理がレシピにあれば」という指摘も。日本で売る以上、和食のレシピは必須。高原さんと上野さんは日本での発売までに和食のレシピを50は作りたいと開発に乗り出し、料理雑誌「オレンジページ」の協力を取り付けた。しかし、苦戦したのが「ブリの照り焼き」。フライパンに身がくっついてしまう問題が発生した。ヘスタンキューのフライパンは、プロ仕様のステンレス製のため保温性が高く、食材にムラなく火が入る一方、こびりつきやすいのだ。高原さんらは、ヘスタンキューを生み出した会社「ヘスタン スマート クッキング」のレシピ開発責任者にリモートで相談。日本で焼いた時の温度は170度だったが、アメリカでは224度に。実際に焼き始めると...、こびりつかなかった。ヘスタンキュー開発までの道のりは長く、材料一つひとつに対して最適な温度と加熱時間を割り出すため、1度、1秒単位でテストを繰り返したそう。すぐに温度の問題が解決できたのは、こうしたデータの積み重ねによるものだった。1ヵ月後、和食レシピを作った料理家とともに、アメリカから打ち返されてきたレシピを試すことに。まずは問題の「ブリの照り焼き」から。指定通りの温度と時間で作ると、フライパンにこびりつきはしなかった。高原さんも「技術が料理の既成概念を突破する。まさにフードテックだと実感させられた」と手応えを語った。10月下旬。いよいよ発売まで2ヵ月を切った。しかし、2人の顔は浮かない。有名シェフとのコラボを売りにしようと依頼のメールを送ったが、全て断られてしまったからだ。返信の内容は、「スマートキッチン家電を使うつもりはありません」「YouTubeなどの動画を見ながら料理した方が都合がいい」「辞退させていただきます」......。しかし、落胆している時間はない。2人が考えた新たな戦略とは──。
「美味しさ」を数値で表現
続いて密着したのは、大手企業がこぞってオファーする慶應大学発のベンチャー企業「アイシー」。慶應大学特任講師・鈴木隆一さんが立ち上げた会社で、鈴木さんが在学中から取り組んできたのが「味覚センサー・レオ」だ。「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味、5つを数値化し、あらゆる味がこの5つの組み合わせで表現できる。AIを使って、それが美味しいか美味しくないかを学習させることで数値を出している」と鈴木さん。レオは、総合的な"美味しさ"を数値で表すことができる世にも珍しい装置。例えば無糖のコーヒーなら、数値に苦味と酸味が強く出て、砂糖を加えると甘味が出る代わりに苦味と酸味の数値が下がる。人が感じる味覚を忠実に表せるという。鈴木さんはレオの分析を使い、「美味しさを証明するビジネス」を立ち上げた。大手飲料メーカー「キリン」も得意先の一つで、2016年、緑茶飲料「生茶」をリニューアルする際、味覚分析を依頼された。元々の生茶は苦味が特徴だったが、うま味も強く打ち出して再開発。レオによって従来の生茶よりコクのある商品になっていることが証明され、発売後の販売数は前年の1.8倍に増えた。鈴木さんは慶應の学生を集め、美味しさの幅を広げる実証実験もしていた。その名も「悪魔の食べ合わせ」。レオが「美味しさ」を証明した食べ合わせを体験してもらう試みだ。納豆とプリンを混ぜ合わせると、学生からは「気持ち悪い」との声が上がる。しかし口にすると「いけるね」「臭みが消える。嫌な感じがしないかも」。しらすとバナナの組み合わせも「結構好きかも」「甘じょっぱさがいい」と好評だ。なぜ、こんな組み合わせを「美味しい」と感じるのか。そもそも美味しさには、2つの強い味のバランスが取れている、3つの味のバランスが取れている、突出した味をまろやかにするなどの法則がある。悪魔の食べ合わせを美味しいと感じるのは、レオが出した分析をこの法則に照らし合わせているためだ。鈴木さんは「味覚センサーは人工知能なので偏見がない」と話す。「ラーメン店でトッピングにプリンが出てくるのが理想。チャーシュー、メンマ、プリンみたいな。そうしたら革命ですね」。この放送が見たい方は「テレ東BIZ」へ!
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