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ミシシッピ・リバー・カントリーの魅力あふれる小さな町 | 地球の歩き方 ニュース&レポート

地球の歩き方書籍編集部

2021年09月01日

この記事のもくじ

ミネソタ州北部のアイタスカ湖から北アメリカ大陸を約4800㎞にわたって縦断し、メキシコ湾へと注ぐミシシッピ・リバー。その流域に、“ハート・オブ・アメリカ”とも呼ばれるミシシッピ・リバー・カントリーが広がっています。古くから、多くの人やもの、文化がこのアメリカの大動脈ともいうべき大河を通じて行き来してきました。『大草原の小さな家』や『トムソーヤの冒険』の舞台となったのもこの地域。ジャズやロックンロール、ブルースなどの音楽もここで生まれました。そんなミシシッピ・リバー・カントリーには、小さいながらも個性的で、どこか懐かしさを感じる可愛らしい町が数多く点在しています。*ミシシッピ・リバー・カントリー:ミネソタ、アイオワ、ウィスコンシン、イリノイ、ミズーリ、ケンタッキー、テネシー、アーカンソー、ミシシッピ、ルイジアナの10州で構成される地域

19世紀のアメリカへタイムトリップ in ガリーナ

イリノイ州北西端に位置する人口数千あまりのガリーナは、各誌で何度もアメリカのベスト・スモールタウンに選ばれている人気の町。かつては鉛産業で栄えた地で、南北戦争北軍の将軍で第18代アメリカ合衆国大統領を務めたユリシーズ・S・グラントゆかりの地としても知られています。今も19世紀の町並みを残し、町の8割以上の建物が国の史跡に指定されています。なかでも当時からの光景がほとんど変わっていないのが、町の中心を走るメインストリート。19世紀の建物を利用した可愛らしいカフェやショップが軒を連ね、どこを切り取っても絵になる風景が続いています。■Galena・アクセス: シカゴ・オヘア空港から車で約2時間30分・URL: https://www.visitgalena.org/

町なかには、19世紀に建てられた歴史的建造物が点在。かつての交易所で、町で最も古い建物とされるダウリング・ハウスやヴィクトリア調の優美な調度品が美しい大邸宅ベルヴェデーレ、ユリシーズ・S・グラント元大統領が暮らしていた家などが一般公開されています。数ある歴史的建造物を巡るには、レトロなトロリーに乗っての見学がおすすめ。町なかを巡って各建物の外観を眺めるツアーのほか、途中でグラント・ホームやベルヴェデーレなどの代表的な見どころに立ち寄り、内部を見学するコースもあります。■Galena Trolley Tours・住所: 314 S. Main St., Galena IL 61036・電話: 815-777-1248・URL: https://galenatrolleys.com/

歴史的建造物のなかで食事が楽しめるのも、ガリーナならではの魅力です。エイブラハム・リンカーン元大統領がバルコニーからメインストリートへ向かって演説をし、さらにユリシーズ・S・グラント元大統領が大統領選の本部を置いたことでも知られるデソト・ハウスは、1855年にオープンして以来、多くの人々に愛されてきたホテル。激動の歴史を見守り続けてきたイリノイ州で最も古いホテルで、宿泊者以外でも建物内にある3つのレストランで朝食やランチ、ディナーが楽しめます。■Desoto House・住所: 230 S. Main St., Galena, IL 61036・電話: 815-777-0090・URL: https://desotohouse.com/

ガリーナには、チャーミングで個性的な宿泊施設がいくつもあります。そのうちのひとつ、ゴールドムア・インは、かつて屋敷だった建物を改装したカントリー・イン。三角屋根の塔に煙突といった外観でひっそりと森のなかにたたずむ様は、まるで物語の世界から抜け出してきたかのよう。それぞれインテリアが異なるスイートルームのほか、緑あふれる敷地内には丸太造りのキャビンやカントリー調のロマンティックな調度品でまとめられたコテージが点在し、窓越しに優雅なミシシッピ・リバーの流れを感じながらゆったりとした滞在が楽しめます。 ■Goldmoor Inn・住所: 9001 W. Sand Hill Rd., Galena, IL 61036・電話: 815-777-3925・URL: https://www.goldmoor.com/

歴史的建造物を改築した宿泊施設はほかにもあります。メインストリートのすぐ近く、町の中心に立つジェイル・ヒル・インは、その名のとおりかつて牢獄として使われていた建物を改装したB&Bスタイルの宿泊施設。135年以上も昔に建てられた趣のあるレンガ造りの外観で、それぞれに趣向が異なる客室は全6室すべてスイート。広々とした室内には、ミニキッチンや暖炉なども備わっています。また、地元食材を使ったバラエティー豊かな朝食や無料で提供されるワイン&チーズ、ホームメイドクッキーなどのサービスも好評で、何度もアメリカのベストB&Bに選ばれています。■Jail Hill Inn・住所: 319 Meeker St., Galena, IL 61036・電話: 815-777-3000・URL: https://jailhillgalena.com/

大自然のなかで過ごしたい人に人気なのが、ガリーナ郊外のミシシッピ・リバーを見下ろす丘の上にある、チェスナッツ・マウンテン・リゾート。広大な敷地内にさまざまな遊びとくつろぎの場が完備されていて、眺めのいいカフェやラウンジ、サウナ、プールでのんびりと過ごしたい人はもちろん、アクティブに遊びたい人にも最適。夏はジップラインにリバークルーズ、巨大滑り台、冬はスキーにスノーシューにと、一年を通じて楽しめるさまざまな施設が揃っています。■Chestnut Mountain Resort・住所: 8700 W. Chestnut Mountain Rd., Galena, IL 61036・電話: 800-397-1320・URL: https://www.chestnutmtn.com/

ノスタルジックな風景を求めて in ナッチェズ

ミシシッピ州南西部に位置する人口約1万6,000人のナッチェズは、今も南北戦争以前の風景を色濃く残す町。ミシシッピ・リバーを見下ろす崖上にプランテーションハウスと呼ばれる大邸宅が点在し、その豪華なたたずまいから当時の栄華の様子が伺えます。ナッチェズはもともと交易、商売の中心地で、1822年まで州都だった町。19世紀半ばになると裕福な農園経営者たちがやって来て広大なプランテーションを展開、豪華な邸宅を建てていきました。栽培された綿花は蒸気船に積まれ、ミシシッピ・リバーを縦断。各港へと運ばれ、各地域・国へと出荷されていきました。

南北戦争によってアメリカ南部の各町がダメージを受けるなか、大きな被害を免れたナッチェズには、アメリカ国内どの地域よりも多くの建物が現存。豪華プランテーションハウスをはじめとする建物が1000以上も国の史跡に指定されていて、南北戦争以前のアメリカ南部を舞台とした『ハック・フィンの冒険』や『ミシシッピ』など、数々のハリウッド映画やテレビドラマのロケ地としても使われています。■Natchez・アクセス: ジャクソン・エヴァース国際空港から車で約2時間・URL: https://www.visitnatchez.org/

プランテーションハウスの多くは個人の所有ですが、なかには一般公開されていて、ツアーに参加して内部を見学することができる邸宅もあります。そのうちのひとつが、ギリシャのパルテノン神殿を思わせる列柱と真っ白な大理石で覆われた外観が印象的なスタントン・ホール。裕福な綿花商人・スタントン氏が1857年に建てた邸宅で、応接間に取り付けられた大きな鏡やホールに施された繊細な木工細工をはじめ、数々の調度品が当時のままの姿で配されています。■Natchez Pilgrimage Tours・住所: 401 High St.・URL: https://natchezpilgrimage.com/

プランテーションハウスのなかには、宿泊施設として改築されたものもあります。19世紀初期に建てられたマンマウス・ヒストリック・イン&ガーデンは、アメリカ・メキシコ戦争の英雄で弁護士、州知事も務めたジョン・クイットマンが住んでいたことでも知られる大邸宅。メイン棟のほか7棟の離れに全30室あり、天蓋付きの重工な木造ベッドや歴史を感じるシャンデリア、優雅に曲線を描くドレープなど、どの部屋も南北戦争以前の豪華な調度品で彩られています。

10万平方メートル以上もの広大な敷地内には池や噴水があり、草木の間を縫って続く遊歩道には天使の像が点在。整備されたガーデンにはバラやアザレア、モクレンの花が咲き誇っています。リクエストすれば、芝生の上やガゼボでのピクニックランチなどのアレンジも可能。当時の応接間を改築したレストラン「Restaurant 1818」では、まるで19世紀の豪商の館へ招かれたような気分で、ガス灯のシャンデリアや燭台に囲まれての優雅な食事を楽しめます。■Monmouth Historic Inn & Garden・住所: 1358 John A. Quitman Blvd., Natchez, MS 39120・電話: 601-442-5852・URL: https://www.monmouthhistoricinn.com/

どっしりと構える真っ白な外観が印象的なダンリース・ヒストリック・インは、1855年築の大邸宅を改築した宿泊施設。各階の周囲にはポーチが配され、さらに全体を取り囲むようにギリシャ建築調の26本の列柱が立っています。客室は全22室あり、メインハウスのほか、レンガ造りの納屋を改築した離れの棟などにも宿泊が可能。繊細な装飾が施された鏡や額縁、ドレープでまとわれたベッドなどで彩られた優雅な部屋から映画に出てきそうな屋根裏部屋風のこぢんまりとした部屋まで、さまざまなタイプから選べます。敷地内に立つレストランも、とても個性的です。もともとは大邸宅が建てられる以前から馬小屋として使われていた建物で、中世ヨーロッパの城塞を思わせる重厚なレンガ造りの外観が印象的。ここではロマンティックなディナーはもちろん、併設の英国風パブでのひとときが楽しめます。■Dunleith Historic Inn・住所: 84 Homochitto St., Natchez. MS 39120・電話: 601-897-6300・URL: https://www.dunleithhistoricinn.com/

クラフトマンシップが息づく町、レッド・ウィング

ミネソタ州南東部、ウィスコンシン州との境を流れるミシシッピ・リバーに面して広がる人口1万6000人あまりの町レッド・ウィング。町の名を聞いてまず思い浮かべるのが、世界中で愛用され、日本でもファンが多いあのブーツ。そう、ここは1905年創業のシューズメーカー、レッド・ウィング・シューズの本社と工場があることで有名な町です。もともとはスー族ダコタ部族の大酋長レッド・ウィングから名付けられた町で、大きな港を擁していたことから発展。後にヨーロッパ各国から多くの職人が移り住み、皮なめしや靴、家具、製陶などの産業を発展させていきました。今でも町なかには、職人の技が受け継がれた多くの工房やショップが点在しています。■Red Wing・アクセス: ミネアポリス=セント・ポール国際空港から車で約1時間・URL: https://redwing.org/

クラフトマンシップが息づく町への玄関口となるのが、レッド・ウィング駅。全米各地を結ぶ旅客鉄道アムトラックが停車する駅で、1905年に開通して以来、町の発展に大きく貢献してきました。今も観光客を乗せ、シカゴやセント・ポール、ミネアポリスなどの都市との間をつないでいます。ネオクラシック様式の茶色のレンガと破風が付いたとんがり屋根の外観が目印で、ダウンタウンまで1区画という近さ。駅舎内には観光局もあり、町の見どころや情報を収集できます。■Red Wing Depot・住所: 420 Levee St., Red Wing, MN 55066・URL: https://www.greatamericanstations.com/stations/red-wing-mn-rdw/

昔ながらの職人技といえば、代表的なのが町の名を冠したレッド・ウィング・シューズ。ダウンタウンのショップ内には博物館が併設させていて、ブーツ造りの歴史や工程を学ぶことができます。必見は、創業100周辺の記念として2005年に造られた巨大ブーツ。なんと足のサイズ約6mという大きさで、クラシックスタイル877番のデザインと素材がそのまま忠実に再現されています。店内には、さまざまなデザインのブーツが勢揃い。高品質の皮製品を長年愛用してほしいとの願いから、アフターケアにも力を入れています。クラフトマンシップが息づいているだけに、シューズ選びも慎重にアドバイス。足のサイズだけではなく足裏や甲などの形を念入りに測定して、ぴったりフィットするタイプの靴を選んでくれます。■Red Wing Shoe Store・住所: 315 Main St., Red Wing, MN 55066・電話: 651-388-6233・URL: https://stores.redwing.com/red-wing-mn

アートの町としても知られるレッド・ウィング。町なかには地元アーティストたちの作品を集めたギャラリーやショップ、工房などが点在しています。多くのアーティストたちを惹きつけている理由のひとつが、展望塔がシンボルのアンダーソン・センターの存在。20世紀初期に建てられた工場兼邸宅を改築した建物で、現在はアーティストたちの創作・交流の場として活用されています。ここを拠点に育っていったアーティストたちは800人以上。ユニークな彫刻が点在するガーデンへはだれもが入場でき、定期的に芸術イベントなども開催されています。■Anderson Center住所: 163 Tower View Dr., Red Wing MN 55066URL: https://www.andersoncenter.org/

クラフトマンシップやアートに加え、レッド・ウィングの町は自然の美しさでも有名です。蛇行して流れるミシシッピ・リバーがいくつもの湖や支流を生み出し、豊かな自然景観を形成。リバー沿いにはいくつものトレイルが整備されていて、植物や野鳥観察などが楽しめます。町なかだけでも35もの公園があり、観光客や地元の人々に癒しの場を提供しています。そのうちのひとつ、リバー沿いに広がるベイ・ポイント・パークは、ダウンタウンに近いことからも人気の公園。近くには、船に燃料を給油するための昔ながらの貯蔵小屋が並んで浮かぶボート・ハウス・ヴィレッジがあり、そのフォトジェニックな光景が多くの画家や写真家たちを惹きつけています。■Bay Point Park ・URL: https://www.red-wing.org/Facilities/Facility/Details/Bay-Point-Park-3

レッド・ウィングの歴史的町並みの中心に立つのが、セント・ジェームス・ホテル。1875年創業の老舗ホテルで、第19代アメリカ合衆国大統領ルーサーフォード・B・ヘイズ氏をはじめ、多くの著名人が宿泊したことでも知られています。ヴィクトリア調の優雅な調度品で彩られた67室の客室はそれぞれ趣向が異なり、町の伝統工芸品やアートが多く取り入れられているのが特徴。セント・ポールに移転する1869年までレッド・ウィングにあった、ミネソタでいちばん歴史のあるハムリン大学の校舎で使われていたアーチや資材を用いるなど、町の歴史があちらこちらに刻み込まれています。ミシシッピ・リバーを見渡すテラス席が自慢のレストランのほか、隠れ家的雰囲気たっぷりのレストラン&バーもあり、1860年代の調度品に囲まれてゆったりとしたひとときを過ごすことができます。■St. James Hotel・住所: 406 Main St., Red Wing, MN 55066・電話: 800-252-1875・URL: https://st-james-hotel.com/■ミシシッピ・リバー・カントリーの観光情報:ミシシッピ・リバー・カントリー USA 日本事務所*公式サイト: https://mrcusa.jp/ *公式Facebook: https://www.facebook.com/mrcusajapan*公式YouTube: https://www.youtube.com/user/thegreatriverroad※当記事は、2021年9月1日現在のものです■こんな時だから旅を語ろう 特集ページはこちら・URL: https://pu.arukikata.co.jp/tabiwokataro/

〈地球の歩き方編集室よりお願い〉2021年9月1日現在、各国への日本からの観光目的の渡航はできません。渡航についての最新情報、情報の詳細は下記などを参考に必ず各自でご確認ください。◎外務省海外安全ホームページ・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

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