中古物件のプロとリノベの達人が結婚したら? 「やりたいことは全部やりきった!」、満足度200%の家【cowcamo MAGAZINE】 menu-bold cowcamo MAGAZINE logo cowcamo logo cowcamo logo
中古マンションを購入し、楽しくリノベ暮らしをしているお宅へ訪問インタビューさせていただく「リノベ暮らしの先輩に聞く!」。今回は我らがcowcamo(カウカモ)エージェント、森勇貴(20代後半)と、DIY好きにはおなじみ「toolbox」で働く奥さまの愛美さん(30代前半)が暮らす東京都世田谷区の住まいを訪ねました。
「リノベーション EXPO JAPAN TOKYO 2019」のカウカモブースに登場した “のぞき穴ボックス” にて披露された森宅のムービー。
今回紹介するのは、まさに「リノベ暮らしの先輩」と呼ぶのにふさわしいふたり。当マガジンの母体であるリノベーション住宅のオンラインマーケット「cowcamo(カウカモ)」で物件仲介を担当する森勇貴と、リノベ・DIY向けの素材やパーツ販売、情報発信を行う「toolbox」で商品企画をしている愛美さん夫妻です。
森は数えきれないほどの中古マンションを見てきた「物件のプロ」。そして愛美さんは内装や施工に精通した「リノベの達人」です。そんな最強コンビが、駒沢に立つ築40年のマンションを購入し、リノベーション。そこには、これからリノベする人の参考になるヒントが詰まっていました。
室内はリノベで好きに変えられるから、立地・広さ・金額、そして周辺環境や管理体制で判断
愛美さん:前に住んでいたマンションは、賃貸だけど自由にリノベーションできる物件でした。私がひとり暮らしの時にほぼDIYでリノベーションして、気に入っていたから夫に無理やり引っ越してきてもらって(笑)。でも昨年秋に妊娠が分かって、さすがに子どもが生まれると狭くなるなあと。出産前に引っ越そうと、家探しを始めました。
そう話す愛美さんは、10代の頃から家具を自作したり部屋の壁を塗って大家さんに怒られたり(!)と、筋金入りのDIY・リノベ好き。森も仕事柄その魅力を知り尽くしていたため、リノベーション前提で中古マンションを探し始めました。
愛美さん:子どもが生まれたら家で過ごす時間が長くなるので、気に入らない空間だと絶対にストレスがたまる(笑)。だから賃貸は選択肢になくて、買ってリノベするしかない! と思いました。
3LDKの間取りは大きく変えず、床材や壁材、キッチンを一新して自分たち好みに。
驚くのは物件購入までの早さ。妊娠が分かった2週間後にこの部屋を内見し、その日のうちに決断。1ヶ月後には引き渡しを終えていたといいます。
愛美さん:リノベーションの工事期間を考えると、お腹が大きくなる前に引っ越すためには早く決める必要があって。ふたりとも仕事柄、図面や立地である程度物件の良し悪しを判断できるから、1軒目で即決できたというのはありましたね。
物件選びの軸は、広さ・立地・金額、そして周辺環境やマンションの管理体制。
購入した築40年のマンションはふたりがなじみのある駒沢エリアで、最寄り駅から徒歩10分と好条件。価格も納得感のあるものでした。隣が公園のため緑が気持ち良く、小学校や中学校も近くて子育てしやすい環境も後押しになりました。
一方で、内装や古さは「リノベーションでどうにでもなる」とほとんど気にしなかったそう。
愛美さん:リノベ前提の場合、見た目に惑わされず「直したい所を希望通りに直せるか」を見ることが大切だと思います。この物件は内装を全部新しくして「リノベ済み!」と売り出されていたんですが、フローリングやタイルの色が全然趣味に合わなくて(笑)。でも、そこは自分たちで変えるから無視しました。
ちなみに購入時はこんな雰囲気でしたが・・・
リノベーション後はこう大変身!
購入時の状態は白いクロスや黒っぽいフローリング、壁のタイルなどの素材感が目立ちますが、これらはリノベーションで一新できる要素なので気にせずに検討。
ポイントになったのが、もとの間取りを生かせること。あまり知られていませんが、解体工事が加わると「解体処分費」がかかってしまうため、リノベーションではもとの間取りを極力生かすのが吉です。
愛美さん:LDK以外に寝室と子ども部屋、家事室が欲しかったのですが、ここなら洗面室の横に日当たりが良くて洗濯物が干せる家事室が作れる。洗面室との間にドアをつけて、洗濯機とスムーズに行き来できる動線を作れました。
花粉症のため室内干し派で、来客時も気にせずに干しておけるようにと、個室の一室を家事室に。洗面室との間の壁には新たにドアを作り、洗面室の洗濯機→家事室→LDKと回遊できる便利な動線に。天井には物干し用のブロンズのバーを設置しました。
未来の子ども部屋は今、書斎として活用中。
希望のリノベができるか、購入時に最低限はチェックを
図面を見ると、確かに間取りは大きく変わっていないふたりの住まい。床材や壁材、キッチンを変えるだけでこんなにも印象が一変するのかと驚かされます。
愛美さん:購入時に床や壁の仕上げは決まっていなかったんですが、床の上から新しいフローリングを増し貼りできるかは確認しておきました。それは予算に大きく影響するので。
床はtoolboxの「オーク材フローリング」にしたいと考えていたふたり。もとの床をはがして貼り直すと工事費も工期も負担が増えますが、諸条件をクリアしていれば、もとの床の上から貼ることが可能です。
その条件は主に以下の3つ。
・床下の配管が新しく、交換の必要がない(フルリノベーション済み物件の場合、おおむね専有部の配管は交換されている)。・天井が低すぎず、フローリングを重ね貼りして床が高くなっても問題ない。・床が高くなっても、ドアや収納の扉の下部をカットすれば開閉できる。
工事中の様子。これは、もとのフローリングの上に歩行性調整などのための下地材を張っているところ。この上から新しいフローリングを施工していきます。
フローリング材は厚み12mmと薄めのものを選び、床が高くなりすぎないよう配慮。ドアはインテリアに合わせて新たに作り、サイズを合わせたので開閉にも差し支えありません。
オーク材フローリングを貼ると、こんな雰囲気に。
玄関からLDKに入るドアはアイアンをイメージ。実際にアイアン素材で作ると重くなってしまうため木製のドアをアイアン塗料でペイントしました。
玄関とLDKに入るドア。ハンドルはなんと雑貨ショップで購入した木製タオルハンガー!
マンションの管理体制を見極める
立地や間取り以外に購入の決め手になったのが、プロならではの視点で見た「マンションの管理体制の良さ」でした。
森:資料を見ると、このマンションは管理体制がすごく良好。長期修繕計画も立っているし、将来的に修繕積立金(建物診断や共用部分の修繕工事費用に毎月支払う額)の値上がり想定もない。エレベーターがない分、修繕費も安いですし。建物は1977年築のいわゆる旧耐震基準ですが、ここは4階建てと低層だし複雑な形状ではないので問題ないだろうと。ローン審査の中に図面で耐震性を確認する審査があったんですが、それをパスしているのである程度は安心ですね。
「家を買うならば実際に見て、管理体制もしっかり確認しておかないと危険な場合もあります」と話す森はcowcamoで物件のエージェントを担当。
とはいえ、こうした判断は知識がなければ難しいもの。実際には不動産業者や建築の専門家に相談することをお勧めします。しかし、知識がなくても手軽にマンションの管理体制を見極める方法が、「共用部を見ること」とふたり。
森:エントランスや駐輪場など、共用部分がすさんでいないか見るのは大事ですね。どんな人が住んでいるかも、共用部分からある程度判断できます。例えば、チャイルドシートつきの自転車が置いてあれば子どものいる家族が住んでるな、だとか。あとは可能ならですけど、雨の日かその翌日に内見に行くと廊下側に傘が干してあるので、小さなお子さんが住んでいる家は分かりますね。
愛美さん:ベランダ側の道路から見てゴミ屋敷みたいな部屋がないかとか、共用部の掲示板に苦情の注意書きなどが貼っていないかも見るといいです。
使いたいタイルやフローリング、思い入れのある家具を軸にして
リノベーションはtoolboxの協力を得てスタート。愛美さんが大切にしたのが「思い入れのあるスペースや家具をひとつ決めて、そこを基準に全体を考えること」です。
丸テーブルはイギリスのアンティーク。エクステンション機能つきで、広げると6人座れるのでパーティーに重宝するそう。壁のフレームはふたりがそれぞれひとり暮らしの家から持ち寄ったもの。まるでひとりで選んだかのように感性が一致!
愛美さん:あれがいい、これもやりたい、と広げていくと統一感がなくなるので、自分なりの軸を作り、それに合わせて広げるのがお勧めです。私たちの場合、「壁は白塗装で床はオーク」「黒いタイルを使う」「アンティークの丸いテーブルを置く」が軸だったので、それに合わせて他の素材を決めました。
ぱっと目を引くキッチンは、シンプルな木とステンレスに黒いタイルがアクセントを添える素敵なスペース。既存のカウンターを撤去し、一から造作しています。「効率的な動線や使い勝手の良さを考えるのが大好き」という愛美さんが電子レンジやゴミ箱に合わせてサイズを指定しているので無駄がありません。
カウンター下は、リビング側は食器などの収納棚に、シンク側はゴミ箱や家電類が無駄なく収納されています。黒いタイルもtoolboxの製品。「黒は人気が低いので、我が家が良い事例になれば(笑)」と愛美さん。ステンレスのカウンター天板もtoolboxの製品で、サイズを指定して天板単体で買うことができます。
森:一般的なシステムキッチンはサイズが決められていて、こういうmm単位の世界は表現できない。そうすると、「必要なゴミ箱が入らない!」てことも起こり得るんですよ。
家具もアンティークやオーダーメイドなど買った場所はバラバラですが、素材感やフォルムがしっくりと調和しています。挽き脚(先端にいくに従って細くなる形の脚部)のデザインが多いのは偶然だそう。ふたりの好きなテイストが定まっていることが伺えます。
このソファに合わせて家具を選んだ結果、自然と挽き脚が集まったそう。ソファ脇のスツールに置いたランプは、旅の途中に立ち寄った兵庫・芦屋の「flame」で購入したミナペルホネンとのコラボのために作られたプロトタイプ。
愛美さん:リノベーションでは、多くの人が「足し算の発想」で盛り込みすぎて、最終的に盛り盛りになっちゃうんです。うちは家具を入れた状態を想定して進めていたので、家具がなくなると寂しいくらい。それくらいがちょうどいい。
さらに、リノベーションで見落としがちなのがコンセントの使い勝手。ふたりは設計時に家具の位置や動線をシミュレーションし、必要な位置にコンセントを新設しました。
森:元の設計では「各部屋にコンセントを◯個」と数を基準に考えられていたりするので、実際に家具を置いた時、本当に使いやすいかを考える必要があります。
キッチンではミキサーやフードプロセッサーを使えるよう壁際にコンセントを新設。寝室にもスマホ充電用にベッド脇に設置しました。
洗面にもドライヤー用にコンセントを新設。もともとユニット洗面台でしたが、棚付きミラーを外し、水栓から下だけ生かして収納の面材をラワン材に交換。新しいミラーはtoolboxの新商品。ちなみにトイレは壁の色をバイカラーにペイント!
DIYで思い入れのある住まいに
DIY好きな愛美さんですが、今回は妊娠中のためDIY作業を厳選。そのひとつが、寝室の壁のペイントです。オーストラリアの「covered in paint」という塗料で、中に細かいガラスが入っているため、光が当たると繊細な表情を見せてくれます。
「小さくつぶつぶ見えるのがガラスです。ぱっと見ると分からないんですけどね。完全に自己満足の世界(笑)」
LDKのウッドブラインドも、DIYで取り付けられるtoolboxの製品。1時間程度で取り付け可能です。サイズも5mm単位でオーダー可能。
ブラインドをつけた一番の理由は二重サッシの見え方。外側と内側でサッシの枚数が違ってごちゃごちゃ見えるので、ほど良く隠したかったそうです。サッシ枠はリノベ可能な内側のみアイアン塗料でペイント。
「リノベーションでやりたいことは全部やり切った!」と笑顔のふたり。仕事では多忙を極める森ですが、引っ越し後は早く帰宅するようになったそう。生まれてくる赤ちゃんと3人での楽しい暮らしが目に浮かぶ、そんな幸せな空気に満ちた住まいでした。
ーーーーー物件概要ーーーーー
〈所在地〉東京都世田谷区〈居住者構成〉ご夫婦〈面積〉約69.82㎡ 〈築年〉築40年〈仲介〉cowcamo〈協力〉toolbox
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