AIに対応するマシンビジョンの活用方法 | TECH+ マイナビニュース マイナビ
図1.カラーイメージングを必要とするアプリケーション
マシンビジョンシステムは、単純なモノクロ画像を使用して基本的な物体を識別できますが、カラー画像の方がモノクロよりも多くの情報を伝達します。シーンの分析にAIを採用した場合は色がより重要になります。
マシンビジョンに色を追加すると、前述の新しいアプリケーションにおいて自動認識に新たな状況をもたらすことが期待されます。色によってシーン内の物体間で、コントラストと差異が際立ちます。AIシステムは、これらの特徴を利用して精度を上げることができるようになります。
この場合、特にバッテリ駆動の常時オンデバイスについては、全体的な電力容量の管理がさらに重要になります。これには、1個のコイン電池で5年以上動作すると予想されるデバイスが含まれる可能性があります。システムパワーに関して最も重要な設計基準は、イメージセンサ、制御システム、および通信インタフェースです。
onsemiのRSL10スマートショットカメラは、エンジニアがBLEで接続される完全な低電力画像キャプチャプラットフォームにアクセスできるようにするために開発されたものです。
このプラットフォームの最新バージョンでは、ARX3A0 CMOSイメージセンサに基づくカメラモジュールを使用したカラー画像キャプチャのサポートが追加されました。このモジュールは、onsemi製イメージアクセスシステム(IAS)の設計フォーマットに準拠しており、標準化されたコネクタとレイアウト構成を使用してモジュールの交換を可能にします。
最近のRSL10スマートショットカラーカメラは現在、カラー対応のCMOSイメージセンサをサポートしています。プラットフォームも小型化され、さらに電力がより最適化されています。システムのパフォーマンスを評価した後、顧客はソフトウェアを含む設計ファイルを使用して、独自のスマートマシンビジョンIoTセンサの開発に移行できます。
バッテリ動作時の寿命を維持するには電力管理が重要です。RSL10 SIP(System in Package) / ARX3A0は、カラーカメラの専用パワーマネジメントIC(PMIC)「FAN53880」と、ハードウェアベースのスマートパワーマネジメントモードを採用しています。カラーカメラが連続画像キャプチャで接続される場合の消費電力は136.3mW。トリガーイベントの待機時には消費電力は88.77μWに低下し、パワーダウンモード時の消費電力は30.36μWで済みます。
結果として1日に1枚の画像をキャプチャする場合、カラーカメラプラットフォームは、1個の2000mAhバッテリで11年以上動作することができることが見込まれます。
イベントトリガー型のマシンビジョン
RSL10スマートショットカメラは、イベントでトリガーされる画像キャプチャを提供するように設計されています。これは画像データを常にストリーミングするのではなく、事前に決められたイベントに基づいて画像がキャプチャされることを意味します。イベントの状態は、カメラプラットフォームに統合された高度なセンサを使用して監視されます。
これらのセンサを使用して監視できる条件には、動き、温度、時間、湿度、および加速度があります。開発者は、これらのセンサの出力を使用して、イベントに対する複雑な条件を作成できます。これらの条件が満たされると、RSL10スマートショットカメラが画像キャプチャをトリガーします。キャプチャされた画像はBLEを介してスマートフォンまたはゲートウェイに転送されます。
カラー画像キャプチャへの移行は、Bluetoothを介して転送されるデータ量の増加を意味しますが、onsemiのエンジニアによって、システムの電力要件をほとんど増やすことなく対処することができるようになりました。これを可能にする鍵の一部は、低電力システムインパッケージ(SiP)であるRSL10 SIPです。この小型・低電力のSiPは、システム全体のハブとして機能し、イメージセンサプロセッサを制御し、環境センサを駆動し、BLE通信を管理します。
クラウドAIプラットフォームとの連携
onsemiはRSL10スマートショットカラーカメラに加えて、AndroidおよびiOSで利用可能なカスタムモバイルアプリを提供しています。これにより、接続されたスマートフォンと有効なAWSアカウントを使用してAmazon Rekognitionを使用できるようになります。一旦、AWSアカウントがRSL10スマートショットモバイルアプリに接続されると、画像をアップロードして分析できます。分析が完了すると、Amazon Recognitionは、画像で認識されたすべての物体のリストをパーセント精度数値で返します。
onsemiはまた、Avnetと協力して、Microsoft Azureを利用したクラウドベースのソリューションであるIoTConnect Platform内にRSL10スマートショットカメラを統合しました。IoT設計プロセスができるだけ複雑にならないように設計されたIoTConnectは、カメラプラットフォームからクラウドに情報をリンクする手段を提供して、データの解釈、操作、および学習(AI)を実行できるようにします。顧客はこのレシピを用いて、オブジェクトの検出、アナログメーターの読み取り、在庫レベルの確認など、ビジョンが必要な独自のProof of Value(POV)に合わせてカスタマイズできます。これにより、IoTプロジェクトがより迅速に検証され、顧客がより早く市場に参入できるようになります。
結論
ビジョンセンシングは、工場の自動化や農業など、多くの分野で応用されているエキサイティングなテクノロジーです。人が退屈したり、疲れたり、間違いを犯したりすることがまったくない「検査官」がいることのメリットも重要ですが、AIと機械学習が混在することで真価を発揮します。
RSL10スマートショットカメラは、接続性、カラーおよびモノクロ画像、さらにAIベースの処理を組み合わせた設計プラットフォームをOEMに提供しています。これらのデバイスは、最適化された低電力動作により、統合クラウドサービスを通じて、先進のAIと機械学習へのアクセスを提供するだけでなく、10年以上にわたって動作することができます。
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