パナソニックのタンク式食洗機「NP-TSP1」レビュー、設置しやすく汚れ落ち良しの手軽な1台 | マイナビニュース マイナビニュース マイナビ
パナソニックのタンク式食器洗い乾燥機「NP-TSP1」
分岐水栓を使わないタンク式食洗機は、シロカやアイリスオーヤマなども発売していますが、パナソニックとしては初。賃貸マンション住まいの筆者がさっそく使ってみました。NP-TSP1の実売価格は、2021年12月下旬の時点で83,000円前後です。
一般的に食器洗い乾燥機(以下、食洗機)は、これまで分岐水栓工事というものが必要でした。使っている水栓にもう1つ水栓を取り付けて水の流れを分岐させ、追加したほうを食洗機へつなげます。以下の写真は、筆者がかつて工事したときのものです(今回のレビューでは、水栓工事はしていません)
分岐水栓の工事そのものは30分くらいで終わる簡単なものですが、水栓の種類によっては分岐水栓を取り付けられない場合も。すると水栓ごと交換する必要があり、大がかりになってしまいます。賃貸マンションでは管理会社やオーナーの許可が必要です。また、分岐水栓を取り付けたとしても、賃貸住宅の場合は引っ越し時に原状復帰をしなくてはなりません。
そんなワケで、キッチンの分岐水栓工事は食洗機を導入するハードルになっていたのです。
これを解決するのがタンク式の食洗機。分岐水栓で水を引き込む代わりに、本体のタンクに自分で水を入れて使います。使うたびに給水する手間はかかりますが、水栓がいらないので設置しやすいのが最大のメリットでしょう。排水はシンクに流します。
【動画】パナソニックのメディア向け説明会から。これはNP-TSP1の兄弟モデルで分岐水栓を使う「NP-TSK1」です。リフトアップオープンドアはNP-TSP1と同じ。ドアを持ち上げるように開くため、ドアの軌道範囲が狭いんです
工事の日程調整やパーツの準備が不要で気がラク
以前、パナソニックの食洗機をレビューしたことがありますが、そのときは工事の日程調整と分岐水栓用のパーツの準備が必要でした。今回は不要なので気がラク!(ただしアース線の工事は必要です)。
NP-TSP1の本体サイズは幅550×高さ600×奥行き341mm。タンクが下部にあるため本体の高さはありますが、そのぶん、扉を開け閉めするときに蛇口などにぶつかりにくい構造です。これはリフトアップオープンドアのおかげで、食洗機の前方(扉の開閉)に必要となるスペースを従来モデルと比べて大きく減らしています。設置できるキッチンがかなり増えたと思うので、この点も見逃せないところです。
さて、我が家はというと……。シンクに向かって左側、普段は食器洗いカゴを置いていた場所にNP-TSP1を設置してみたのですが、上部の吊り戸棚にぶつかって断念。シンクの上に板を渡して設置することも考えましたが、試行錯誤した結果、これまでトースターや炊飯器を置いていた棚の上に置くことにしました。
タンク式だけど、あとから分岐水栓の取り付けも可能
設置後、使い始めるまでに自分で行う準備は、付属の小物入れを庫内にセットして、排水ホースとバンドをつなぎます。排水先はシンクです。小物入れにはスタイハンガーが付いているので、食洗機対応のスタイも洗えて便利。もちろんスタイハンガーは取り外せます。
NP-TSP1本体の背面には排水ホースの接続部と、給水接続部もあります。給水接続部は分岐水栓用です。NP-TSP1の場合、「タンク式で使ってたけど分岐水栓にしたい」となったとき、分岐水栓での給水に切り替えられるんです。
いま住んでいる住宅では分岐水栓工事できなくても、引っ越し先がOKだったら分岐水栓を取り付けられます。また、使うたびタンクに水を入れるのが思った以上に面倒だったという場合も、給水方式を変えられるというわけ。ライフスタイルに合わせて柔軟に対応できるのはありがたいですね。
付属の給水カップは2リットル。1回に使う水の量は約9リットル
では食器を洗ってみましょう。NP-TSP1に食器と洗剤を入れたあと、タンクに水を注いでいきます。付属する給水カップの容量は2リットルなので、約4.5杯分の水をタンクに入れます(約9リットル)。適量になるとピピッ! と音がなるので毎回きっちり量らなくても大丈夫です。
操作パネルは本体前面にあります。食器の汚れ具合に応じて3段階の洗浄モードが選べるほか、乾燥のみ行う場合は30分か60分で設定可能。庫内をクリーンにする清掃設定や、4時間後にスタートする予約ボタンなども用意されています。
洗う食器の汚れレベルは、食器が少ないときは「L1」、食後すぐに洗うときは「L2」、油汚れが多いときや食後数時間たってから洗うときは「L3」を選びます。
我が家は洋食が多いため、基本的には「L3」で洗いました。気になる運転音は、バシャーバシャーと水をかける音がします。カタログによると運転音は約39~41dBですが、体感としては洗濯機の洗い運転くらいの音です。乾燥時は静かでした。
4人分の食器、1食分を洗うには十分な庫内
NP-TSP1のカタログを見ると、「標準食器で24点入る」とあります。標準食器というのは電機工業会(JEMA)が定めた基準によるもので、NP-TSP1の24点は以下の内容です。
実際に使っていると、子ども用と大人用では食器のサイズが異なるため、24点の食器を庫内にきちんとセットするのは難しいのが本音。とはいえ、1回の食事で使い14~20点くらいの食器はしっかり入り、洗浄乾燥後はキレイになりました。
また、食器を入れたあとに、トングやおたまのような調理器具も入れられます。食器の点数にもよりますが、フライパンや鍋などは別で洗う必要があるでしょう。筆者の場合、夕食のあとは食器や調理器具のみをセットして、鍋は自分で洗いました。朝食やお弁当づくりなどは、食器が少なく、小さめのフライパンを使っていたので、一緒に一度で洗えました。
NP-TSP1で食器をキレイに洗うコツは、食器の汚れに水流が当たるように、庫内の噴射ノズルの方向に汚れを向けてセットすること。あとは詰め込み過ぎないことですね。筆者も最初のうちは汁椀が重なってうまく洗えないこともありましたが、何回か続けているうちにコツがつかめてきます。割と大雑把にセットしてもキレイになるものです。
洗い上がりの結果は、高温のお湯と食洗機専用の洗剤を使うため、汚れ落ちは上々。タンク式だと水の勢いが弱いのかな? と思っていたところ、NP-TSP1は分岐水栓用モデルと同じ性能のポンプを使っているため、噴射の勢いは落ちません。
カレーを食べたあとの陶器の食器はもちろん、プラスチック製の皿もキレイになりました。スプーンやグラスは磨いたように輝いていて、「キレイになった!」という実感と満足感があります。汚れが落ちにくく洗うのが大変な「あくとり」もピカピカでした。
【動画】パナソニックのメディア向け説明会から。2つの下ノズルのほか、上ノズルと背面ノズルで食器の死角を減らします。動画は下ノズルが実際に動く様子
タンク式はお手軽!
洗浄力が高く、手荒れもせず、ほったらかしで乾燥までするという満足度が高い食洗機。「分岐水栓がいらないから手軽! 分岐水栓を買わなくてイイし! 水栓まわりがごたつかないから掃除もしやすい!」と、最初のうちは喜んでいました。
ただ分かってはいたものの、自分でやっているうちに毎回水を入れるのが面倒になってくるんですよね……(使う人にもよると思います)。
そんなある日、ろうととホースで水を入れてみよう! と試したものの、NP-TSP1の給水口よりも水栓の位置が低いため水が流れていかず、結局は付属のカップで入れることに。ホースと蛇口を一時的に密着する方法が見つかれば、かなりラクになりそうです。
家にいる時間が増えたから食洗機は必須の家電に
家にいる時間が増えると、当然ですが家で取る食事や食器洗いの回数も増えます。食洗機があると、やはり助かります。手放せません。
食器×24点が入るNP-TSP1は、我が家(4人分)で食事の後片付けとしてはちょうど良いサイズ。これより小さくなると、何回かに分けて洗うか、使う食器のサイズをそろえたりと、ちょっと工夫が必要になります。
多くのご家庭で食洗機を導入するときに問題となる設置面ですが、タンク式から分岐水栓に切り替えられるNP-TSP1は、ライフスタイルに合わせて柔軟に対応できて便利だと思いました。賃貸住まいなら引っ越すこともあるでしょうし、食洗機は一度買うと10年は使うものなので、長い目で考えると給水方式を選べたほうが有利です。
NP-TSP1はタンク内蔵のぶん高さがあるため、我が家のようにいざ置いてみると上方の棚がぶつかってしまうこともあります。購入前は、水栓まわりのスペース、棚までの距離などを測っておくことが大切です。実際の設置では、本体底面の「脚」が乗ればOKなので、本体サイズに加えて設置サイズでも調べておきましょう。
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