なぜ日本で中華料理は人気なのか？（CNS（China News Service）） - Yahoo!ニュース

北京で開催された第5回中国料理技術大会で披露された蒸し魚とカボチャの創作料理（2004年4月13日撮影、資料写真）。

【CNS】日本の中華料理店には「中国料理」と「中華料理」の2種類の看板をよく見かける。一般的に中国料理店は華僑が経営し、中国本場の味をそのまま客に提供する。主に高級な広東料理が多く、最近は中国人シェフを高額で招いてさらに本物の味を追求する店もある。　一方、日本風にアレンジした中華風の料理を作っているのが中華料理店だ。主に街角にある飲食店で、客は中国各地の有名料理を一度に味わうことができる。1970年代生まれの中華料理コーディネーター佐藤貴子（Takako Sato）さんは、中華料理に慣れ親しんで育った。佐藤さんが子どもの頃、マーボー豆腐やエビチリなどの家庭料理は日本人にとって中華料理の代名詞。「安くてうまい」のが中華料理だった。　最近の日本の中華料理店は多様化している。中国に渡って本格的に料理を学ぶ日本人が増え、四川（Sichuan）料理の本場・成都市（Chengdu）や浙江（Zhejiang）料理の杭州市（Hangzhou）といった大都市のほか、山岳地帯や少数民族地帯にも訪れている。近年、東京には東北料理、雲南（Yunnan）料理、広西（Guangxi）料理などの郷土料理を専門とする料理店が現れ、中華料理店も地域色を持ち始めている。「中国菜老四川　飄香 麻布十番本店」のオーナーシェフ井桁良樹（Yoshiki Igeta）さんは、四川料理の老舗「松雲沢」で学んだ。季節の野菜を使った回鍋肉を作り、東京にいながら本格的な回鍋肉を堪能できる。一部の中華料理店は高級化が進み、銀座の一部の中華料理店は1人あたりの支払いが3万～5万円に達するところもある。　日本での中華料理人気は、四川料理が火つけ役となった。そこには、「日本の四川料理の父」と呼ばれる陳建民（Chen Jianmin）さんの存在があった。1950年代に来日し、「四川飯店」を経営して大成功を収めた陳さんは、1960年代にNHK料理番組に出演。回鍋肉やマーボー豆腐などを家庭で調理するコツをお茶の間に伝えた。　近年は特に、四川料理の「麻辣」味が日本でブームとなっている。生活のペースが速くなったことや仕事のストレス、少子化も激辛味を好む背景にあるとみられる。成都市に留学経験があるグルメライター中川正道（Masamichi Nakagawa）さんは、日本で四川料理を紹介するサイトを開設し、東京で「麻辣連盟」を設立。2017年から3年連続で四川グルメフェスティバルを開催した。2019年の四川フェスはわずか2日間で10万人を動員し、多くの日本メディアが報道した。「麻辣連盟」のメンバーは成都にもたびたび訪れている。　日本人は外国の優れた文化を取り入れ、日本流にアレンジするのが得意だ。四川の人々は脳花（豚の脳）や脊髄をマーボー豆腐に入れてよく食べるが、ある日本人シェフは代わりに白子を入れたマーボー豆腐を編み出した。料理の特色を保ちつつ、日本人に受け入れやすくするアイデアに満ちている。　東京では「和魂漢才」をテーマにする中華料理店「茶禅華（さぜんか）」が2021年度版ミシュランガイド（Michelin Guide）で3つ星を獲得した。看板メニューは秋ナスと豚バラ肉を使った「雲白肉」。特別な食材を使うのに加えて、肉を蒸し、食器を加熱してからテーブルに届けるまでの時間を秒単位で計算している。こうした創意工夫は、中国の食文化に対する日本人の深い敬意を反映している。(c)CNS/JCM/AFPBB News※この記事は、CNS（China News Service）のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。